1.プロジェクト簡単紹介

1.1プロジェクト背景

1.1.1製品簡単紹介

「メロペネム系」抗菌薬は、広域スペクトル、高効率、耐酵素という三つの特徴を持ち、好気性菌、嫌気性菌に対しいずれも優れた殺菌活性を有し、特に多剤耐性グラム陰性桿菌（例えば超広域β-ラクタマーゼESBLを産生する腸内細菌）に対し、強い殺菌作用を有し、広く応用されている。現在、多剤耐性菌感染、好気性菌と嫌気性菌の混合感染、重症感染および免疫不全患者感染の治療に対し、メロペネム系抗菌薬は臨床で重要な役割を果たしている。

メロペネム系薬剤の主な活性成分はカルバペネムである。よく見られる薬剤としてはイミペネム、パニペネム、メロペネム、ビアペネム、エルタペネム、ファロペネムなどが列挙でき、国規定の『抗菌薬分級管理制度』によってすべて「特殊使用級抗菌薬」に属する。斯かる抗菌薬は特殊な透過性を持ち、細胞外膜に侵入しやすく、細菌中のPBPsと強い親和性があると同時に、特にPBP2と優先的に結合できる。また、β-ラクタマーゼに対して非常に強い安定性を持ち、有意な抗菌薬後遺効果がある為、急速に殺菌される。

4-アセトキシアゼチジノンはメロペネム系原薬産業チェーンにおける重要な中間体である。4-アセトキシアゼチジノン（別名4-アセトキシアゼチジン-2-ワン）は、主にカルバペネムとペネム系β-ラクタマーゼ抗生物質の合成に用いられ、すべてのカルバペネムメロペネム系抗生物質製品の重要な共通中間体である。

本件プロジェクトは通化市の豊富な生薬資源と完備した上下流産業チェーンを後ろ盾に、4-アセトキシアゼチジノン、メロペネム原薬及びその製剤を生産、市場の見通しが広い。

1.1.2市場の見通し

（1）グローバル原薬市場

グローバル医薬市場の発展に伴い、原薬は医薬工業の「ICチップ」と言えるくらい、製薬産業チェーンにおける重要な一環として、医薬業界で重要な地位を占め、その産業の発展動向と競争構造は業界から広く注目されている。

世界的に見ると、原薬市場は2020年のコロナによる低迷期からの脱却につれ、次第に成長を回復してきた。世界の原薬市場規模は2020年発のコロナによる影響を受け、2019年に比べ3.95%減で1822億ドルから1750億ドルに減少したが、その後すぐに2021年からプラス成長に回復、2022年には世界の原薬市場規模は2040億ドル、2023年には2147.2億ドルに達し、前年同期比5.25%増となった。

現在のグローバル原薬市場の競争構造では、アメリカ企業は医薬品特許の優位性を持ち、西ヨーロッパ企業はプロセスの優位性を持っている一方、インドと中国をはじめとする発展途上国の原薬企業は相対的なコストの優位性を持っている。研究開発、生産プロセス、知的財産権保護など多方面のギャップにより、欧米先進国の原薬企業は付加価値の高い原薬分野でリード地位を占めている。それに対し、 中国、インドなどの原薬企業は自身のコスト、規模などの優位によって後発医薬品原薬市場において地位が高まっている。

原薬の市場シェア、輸出先数などの指標を総合的に見ると、世界ランキング上位5位圏内にある原薬メーカー（輸出業者）のうち、インドは4社があり、絶対的な優位性を持っている。中国には数百社の原薬輸出会社があるものの、華北製薬グループ、東北製薬総工場、哈爾浜医薬グループ、浙江海正薬業グループ、珠海連邦製薬会社など少数の会社の輸出規模は相対的に大きいが、それ以外は国内大多数の原薬輸出業者の規模は普遍的に小さいため、グローバル原薬メーカーランキングで中国企業は下位にランクされている。

（2）中国原薬市場

1990年代以前、欧州と米国は世界の主要原薬産地であったが、90年代以降、環境保護や人件費などの要因により、欧州と米国の生産能力は次第に海外に移転し始め、中国とインドを筆頭にした新興市場が急速に台頭、原薬の主要産地と輸出元国になってきた。

ここ数年来、国は次々と様々な産業政策を打ち出し、中国の原薬業界を高質発展に導き、原薬産業は新しい発展機会を迎えた。同時に、環境保護政策の厳格化、業界基準の向上、国際貿易環境の変化に伴い、原薬産業に新たな試練をもたらした。

中国医薬ヘルスケア製品輸出入商会のデータによると、中国はすでに長年にわたり世界最大の原薬産地国・輸出元国であり続け、複数種類の原薬の生産能力は世界第1位にランクインしているか、もしくは重要な市場シェアを占めており、中国全体の原薬生産能力は30%近くの割合で世界第1位を占めている。

2013-2017年の間、中国の原薬生産能力は全体的に右肩上がりの傾向を示していたが、2018-2019年の間、環境保護規制や供給側構造改革の進みにつれ、一部の高エネルギー消費量、高環境負荷型、プロセス技術劣後、過剰な原薬生産能力が淘汰され、中国の原薬生産能力が顕著に低下した。2020年、コロナが全世界で猛威を振るう中、原薬市場の成長はやや鈍化を示していたが、中国では、コロナ対策による安定回復や世界経済の回復に伴い、原薬業界は迅速に活気を取り戻し、強い発展の勢いを示してきた。2023年になると、中国の原薬年間生産能力はすでに前年同期比8.91%増の394.9万トンに上昇、中国原薬産業は試練を乗り越え、新風を巻き起こしただけでなく、将来の巨大な発展潜在力を予示している。

ここ数年来、国は供給側構造改革を大いに推進しており、主に監督管理・誘導の方式によって劣後生産能力を次第に淘汰し、原薬企業のモデルチェンジ・グレードアップを奨励するとともに、原薬市場の規範化を強化、違法な値上げと悪意のある販売抑制行為を取り締まる。一方、合理的な環境保護の基準向上、リーダー企業を技術水準向上による競争力強化に導くことによって、規則に違反する高環境負荷型企業の市場離脱を促し、原薬市場の低価格競争者を減少と共に、『欠如医薬品と原薬事業者の価格行動指針』を発表、原薬価格に対する悪意的な価格操作行為を処罰する。生産能力統合、技術向上、合理的な利益維持により、中国の原薬業界の持続的な健康発展に向け、より強固な基礎を築いている。2028年までに中国の化学薬剤原薬業界における一定規模以上企業の市場規模は6800億元を超える見込みである。

（3）プロジェクト市場分析

4-アセトキシアゼチジノンは、重要な医薬中間体であり、「カルバペネム」系抗生物質（すなわち「メロペネム系」）を生産する原薬の主な原料であり、主にカルバペネムとペネム系β-ラクタマーゼ抗生物質の合成に用いられる。

メロペネムは、主に肺炎、尿路感染、皮膚軟組織感染など様々な細菌感染の治療に用いられるβ-ラクタマーゼ抗生物質である。抗生物質研究の進展に伴い、メロペネムはすでに臨床上の常用薬剤の一つになった。

長年市場に出回っているセフェム系抗生物質製剤の薬物耐性問題がもたらされた中、メロペネム系抗生物質の為に市場空間を作った。ここ数年来、メロペネム系抗生物質の市場シェアは急増し、抗菌薬市場の13.96%を占め、臨床で重要な地位を占めている。2016年の中国国内病院TOP3カルバペネム系抗生物質のうち、メロペネムは半数を占め、それに続くイミペネム・シラスタチン（28.08%）、ビアペネム（14.81%）はそれぞれ2位、3位となり、その他の割合は5.57%であった。そのうちメロペネム全身抗感染薬は第1位に浮上し、カルバペネム系抗生物質薬は中国臨床で掛け替えのない存在である。従来の抗生物質と比べ薬物耐性が低い一方、価格が高く、新型コロナの重症治療に多用される。

市場調査データによると、グローバルメロペネム市場の規模拡大が続き、2025年までに3.5億ドルに上る見込みである。そのうち、中国はメロペネムの最も大きい市場の一つであり、市場規模が拡大しつつある。本件プロジェクトの生産製品は4-アセトキシアゼチジノン（別名4-アセトキシアゼチジン-2-ワン）、メロペネム原薬及び製剤であり、中国の医療市場拡大と人々の抗生物質に対する需要増に伴い、本件プロジェクト市場の見通しは更に広くなる。

1.1.3技術分析

本件プロジェクトは海内外の特許技術、プラント装備などの導入により大規模量産を行う。

4-アセトキシアゼチジノンの製造方法としては触媒酸化法が採用され、金属触媒と酸化剤の作用によって有機溶媒中で4-アセトキシアゼチジノンを製造する。本件プロジェクトは経済的かつ高効率で、環境負荷が小さく、収率が高いという特徴がある。  

メロペネム原薬の製造方法は、化学合成法によってβ-ラクタマーゼ抗生物質の中間体を合成、中間体を特定の側鎖基と反応させ、メロペネムの構造を形成する。

1.1.4プロジェクト建設に有利な条件

(1)政策の優位性

2021年11月、国家発展改革委員会工業情報化部発行の『原薬産業の高質発展推進実施案に関する通知』では、原薬企業が原薬の合成プロセスと発展モデルの革新を強化、エコ技術と設備を広く使用し、産業クラスター化、産業チェーンの協働発展、国際医薬産業への分業参加、全面的な開放発展に取り込むことを奨励する。

2022年1月に発行された「『第14次5ヶ年』医薬工業発展計画」では、原薬の製造優位性を強化、市場潜在力が大きく技術要求が高い特色原薬の新品種や、核酸、ポリペプチドなどの新製品カテゴリの発展を推進、特許薬・原薬の医薬品受託製造事業を大いに発展させ、原薬産業のより高いバリューチェーンへの拡張を促進することを呼びかけた。

「吉林省国民経済と社会発展『第14次5ヶ年計画』及び2035年長期目標要綱」では下記方針を強調した。漢方薬の事業底力を増強し、大品種、新剤形、新投与経路、新適応症状の二次開発と応用化を推進する。バイオ製薬の発展を加速させ、バイオワクチンの国内トップ地位に復帰、遺伝子工学薬と細胞製薬の技術を突破、組み換えタンパク質分野におけるトップ優位性を強固して拡大する。化学薬剤のハイエンド製剤を育成して発展させ、化学原薬の輸出基地を整備する。遼源、通化、白山、梅河口、敦化などの医薬特色産業団地を建設、国家北方小品種薬物生産拠点を整備する。2025年までに、産業規模は2000億元に上る。

北東地域の産業移転受け入れをよりよく支援し、産業構造の調整・最適化を推進、北東の全面的振興における新たなブレークスルーの取得を支援するため、2023年2月、国家発展改革委員会による承認を得た上で、四平、遼源、通化という3都市をカバーした「吉西南産業移転受け入れモデル区」が設立された。モデル区は、医薬健康、装備製造、農産物と食品加工、グリーンエネルギー、現代化学工業、現代紡績、文化観光の七大産業を受け入れる予定である。本件プロジェクトは吉西南産業移転受け入れモデル区に位置し、産業移転受け入れ7プロジェクトの一つである医薬健康プロジェクトに属する。

(2)資源の優位性

通化市化学工業団地は医薬化学工業を特色とする化学工業団地であり、安全性リスク等級C級で、吉林省化学工業団地として第１陣で認定を取得し、情報化と知能化の化学工業団地である。同工業団地の安全性、エコ性、産業受容能力は工業集中区よりはるかに大きく、補助インフラとして給水工場、汚水処理場、消防ステーション、危険化学物質専用駐車場、安全・環境保護緊急指揮センター、従業員操作技能実習基地、予備電源付き二重給電、集中熱供給センター(工業ガスと蒸気含む)が完備し、閉鎖化管理を実施する。

(3)産業基礎の優位性

通化市化学工業団地医薬化工区は敷地面積207ヘクタールであり、定住企業育成や企業誘致などを通じ、明らかな産業クラスターと規模効果を創出、北東地域における医薬分野の主要な生産聚集区になり、さらにより多くの医薬化学工業プロジェクトの操業開始を促している。産業レイアウト、資源配置、産業チェーン、南向き開放の牽引に恵まれる大きな優位性を持っている。

(4)地理的優位性

通化市は、道路、鉄道交通が四方八方に通じ、錫集線（303国道）、鶴大線（201国道）、黒大線（202国道）、営扶線を主幹道として北東三省を結び、山海関出入り・港アクセス道路網が形成され、通化発梅河口行き一級道路が開通した。瀋陽-吉林線、梅河口-集安線、通化市鴨园鎮-白山市大栗子街道鉄道が縦横に行き交い、北京、青島、瀋陽、長春、大連、白河などへ直通旅客列車が就航している。

(5)人材の優位性

現在、通化市には国家級重点中等職業学校が3校、省級重点中等職業学校が3校あり、県級教育センターはすべて省重点学校評価に合格し省トップ100校にランクインし、県級教育センターがすべて省級重点学校に選出された吉林省初の地区となっている。ここ数年来、科学的なレイアウトを通じ、職業教育の構造調整と資源統合を絶えず推進し、多元的な学校運営の新アプローチを模索、現代化職業教育ネットワーク体系の整備を絶えず進めている。職業教育の地方的特色が形成され始め、経済社会の発展への奉仕能力が次第に向上している。

通化市政府は北東師範大学、吉林農業大学、中国科学院長春応用化学研究所、通化師範学院など吉林省にある大学・研究機関とテクノロジー戦略連携協定を締結、企業の発展に科学技術によるサポートを提供している。通化市は人材育成などの面について企業に支援力を与え続け、「卒業生万人による企業振興支援計画」「卒業生千人故郷回帰計画」を力強く実施し、企業の大卒生採用を持続的に支援している。

1.2プロジェクト建設内容及び規模

1.2.1製品規模

本件プロジェクトは4-アセトキシアゼチジノン年産680トン、メロペネム原薬年産150トン、製剤年産8000万本という年間生産能力である。

1.2.2プロジェクト建設内容

本件プロジェクトは敷地面積100ムー、総建築面積8万平方メートル。主に工場棟、作業場、倉庫、実験室、補助施設などを建設、メロペネム系抗生物質原薬生産ラインを購入する。

1.3プロジェクト総投資額と資金調達

1.3.1プロジェ

クト総投資額

プロジェクト総投資額が74000万元で、そのうち建設投資70000万元で、流動性資金4000万元である。

1.3.2資金調達

企業の自己金融

1.4財務分析及び社会評価

1.4.1主な財務指標

プロジェクトの量産後、年間売上高40000万元、利益16000万元。投資回収期間7.6年（税引後、建設期間3年含む）。投資利益率21.6%。

説明：表中の「万元」はすべて人民元である。

1.4.2社会評価

本件プロジェクトにより現地ひいては吉林省の医薬資源を効果的に統合し、産業構造を最適化、原薬及びその製品の品質と競争力を高め、医薬産業の長期成長に堅固な基礎を築く。それに加え、健康産業の発展をさらに推進し、医薬、サプリメントなど諸分野に対しより良質かつ豊富な原料と製品を提供し、人々の日増しな健康需要を満たすと共に、関連産業の発展牽引という役割を果たし、より多くの雇用機会を創出、地域経済の繁栄発展を促進することに繋げる。

1.5協力方式

独資、共同出資。

1.6外資導入の方式

資金、設備、技術

1.7プロジェクト建設場所

通化市化学工業団地医薬化工エリア。

1.8プロジェクト進捗状況

プロジェクト協力計画書編成済み

　2.協力側簡単紹介

2.1基本状況

名称:陸港経済開発区化工団地管理局

住所:吉林省通化県303国道北側

2.2 概況

吉林通化陸港経済開発区（旧名：通化国際内陸港務区）は通化市の北部に位置し、境域面積266.96平方キロメートル、管轄区域面積79.65平方キロメートルである。2016年に省政府の認可を得て設立されて以来、地域牽引能力と中枢機能が強化され続けている。陸港経済開発区は吉林省の南向き開放を進める重要なキャリヤーであり、道路コンテナターミナル、鉄道コンテナターミナル、保税物流センター（B型）、総合物流団地、化学工業産業団地などの機能と役割を担い、保税加工、現代物流、産業協力、テクノロジー革新を一体化した開放協力区を目指し整備している。

陸港経済開発区は地理的優位性に優れ、戦略優位性が際立ち、交通物流が便利である。国境や湾岸に沿い、北東アジア地域の中央部にあたり、北東地域東部グリーン経済帯ヒンターランドに依拠しており、域内には高速道路5路線、鉄道2路線と通化空港があり、道路コンテナターミナル、保税物流センター、総合物流団地などの現代化物流プラットフォームが落成されている。区内にはすでに商業貿易加工創業団地、化学工業産業団地が落成されており、北東アジア国際農林製品取引センターが建設中である。陸港経済開発区は、『第14次5ヶ年計画』 期間中、「一港二団地」の建設を布石に、開放協力の新高地を基軸に、「港・産業・都市」の融合発展を徹底し、商業貿易加工創業産業団地、通化市化学工業産業団地、北東アジア国際農林製品取引物流センターなどの重点プロジェクトを着実に推進、インフラ能力を持続的に最適化し、団地の基礎機能を完備化し、プラットフォームのサービスレベルを向上させ、北東地域の東部商業貿易物流及び産業集積センターを全力で構築する。

2.3連絡先

2.3.1協力機構連絡方式

連絡先:陸港経済開発区化工団地管理局

連絡係:孫艶娜

連絡電話:+86-18504353555

イメール：gwqhgyqglj@163.com

2.3.2プロジェクト所在市（州）連絡方式

連絡先：通化市商務局

連絡係：王良臣

連絡電話：+86-435-3199017  +86-18643036783

イメール：thsswjtck@126.com