1.プロジェクト概要

1.1技術成果の簡単紹介

このプロジェクトでは、胃がんの診断における感度や特異性が不十分であるという問題に着目し、胃がんの特異的マーカーの検出キットを開発・研究し、胃がんにおけるSCTAG検出ための新しい方法を発明した。現在、このプロジェクトの腫瘍マーカーについて、2つの中国発明特許を取得し、国際発明特許を申告している。

1.2技術分析と優位性

1.2.1核心技術の分析

胃がん、肝臓がん、食道がん、肺扁平上皮がん、骨肉腫、大腸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、子宮頸がんなどの腫瘍におけるSCTAG腫瘍抗原の発現が増加し、胃がんにおけるそのmRNAおよびタンパク質発現レベルの検出率はそれぞれ96.2%および81.7%に達した。免疫組織化学的染色により、SCTAGのタンパク質発現レベルは、腫瘍細胞の分化程度、臨床病期、リンパ節および神経系の浸潤に関連していることが示され(最良の腫瘍マーカーの免疫組織化学的染色の陽性率は69.58%)、したがって、SCTAGは胃癌の可能な新しい血清腫瘍マーカーであると暫定的に結論付けられる。

1.2.2技術革新と優位性

SCTAGは、高感度、高特異性、広域スペクトルという特徴を有し、胃がんにおける検出率は既存の検出キットよりもはるかに高く、市場や文献報告では見たことのない高品質の腫瘍マーカーである。現在、プロジェクト技術研究チームによって開発されたPCRおよび免疫組織化学技術は成熟し、SCTAGの発現レベルは約200サンプルで検出され、国内外の同様の製品と比較して成熟度と検出安定性が高い。これまでのところ、SCTAG関連の臨床胃がん診断応用製品および基礎研究は、このプロジェクトのR&Dチームを除いて世界に存在せず、SCTAG関連診断製品の開発において、理論レベルと製品の研究開発の点で独創性が高い。

現在、2つの発明特許が承認され、そのうち、1つは胃がんの診断用PCRキットで、腫瘍組織の陽性検出率は93.8%と高く、がんの隣接組織の陽性検出率は60.4%、もう一つは、胃癌の診断キットの調製におけるSCTAGの応用であり、胃腺癌患者の診断における血清SCTAGタンパク質の陽性率は93.5%と高く、早期胃癌患者の陽性率は96.3%。

1.3技術成果の主要製品と応用

このプロジェクトの技術成果の主な製品は、外来患者の診断と身体検査者のスクリーニングに使用できるSCTAG胃がん検出キットである。

1.4 技術成果の段階

このプロジェクトの技術成果はパイロット段階にある。

1.5 技術団体

団体の責任者は現在ナノメディシン転化研究センターの主任で、中国共産党中央組織部の「万人プログラム」青年優秀な人材、中国青年女性科学者、吉林省衛生科学研究の先導的な人材、吉林省の第8期一流の革新人材などの称号を獲得し、国家重点研究開発プログラム、国家自然科学基金プロジェクト、万人の優秀人材プロジェクト及び吉林大学の高レベル科学技術革新チーム建設プロジェクトなどに参与または主宰し、Nat.Nanotechnol、Nano Lett、Anal、Chemなどに28本の研究論文を発表した。総IＦはおよそ238.7である。該当団体は、3人の研究教師、1人の主治医、10人余りのポスドク、大学院生、技術者を導入した。団体のメンバーは腫瘍学、免疫学、分子生物学などの実験技術に熟練し、細胞培養、動物モデル構築、抗体調備、腫瘍マーカー検出において確固たる基盤を備え、関連する成果は高レベルの雑誌に発表されている。

該当団体は、独自の分子生物学研究室、免疫学研究室、細胞治療研究室、ナノマテリアル研究所、その他の包括的な研究室(総面積350平方メートル)を持ち、団体の科学研究を円滑に発展させるための強固な人材とプラットフォーム基盤を築いている。

2. 市場将来性分析

世界のがんスクリーニング・診断市場は着実に成長し、中国市場の成長率は世界よりも高い。GRAND View Researchのデータによると、中国のがんスクリーニング・診断市場は2021年に65億ドルに達し、将来的には年間複合伸び率11.3%で成長すると推定され、これは世界の成長率をはるかに上回っている。

2018年、GRAND View Researchのデータによると、世界のがん診断市場で最大のシェアを持つ上位3つの疾患は、がんの種類別に乳がん、肺がん、大腸がんである。Frost & Sullivanのデータによると、中国における大腸がんおよび胃がん検診の市場規模は急速に拡大し、大腸がん検診の市場規模は2030年までに198億元に達し、胃がん検診の市場規模は2030年までに150億元を超え、157億元に達すると予想されている。

胃がんの大部分は、初期段階では明らかな症状がないため、無視されがちである。従って、胃がんの早期診断は特に重要である。臨床診療で一般的に使用される診断方法には、血清マーカー検出、画像検出、病理組織学的診断などが含まれる。しかし、これまで胃がんの診断に関するプロジェクトは主に分子診断を研究し、感度や特異性は理想的ではなく、診断や治療に密接に関わる個人の特徴を特定する腫瘍バイオマーカーの研究は特に不十分である。

血清マーカー検出は、小さい外傷、低コスト、高い再現性という大きな利点があり、特に大規模な人口調査に適しているため、国内外の診断業界における研究および競争のホットスポットである。したがって、胃がん特異的マーカー検出キットの開発は、胃がんの診断と治療、さらには胃がんの悪化や死に対処するための重要な手段として、やはり緊急の必要性がある。

3. 融資需要と段階目標

このプロジェクトは3000万元を融資する計画し、主に迅速病理診断キットの文書承認、様々な腫瘍マーカーの臨床検証、SCTAGキットの産業化、新しい診断方法の開発が含まれる製品の後続の臨床試験に使用される。

4.技術成果の効果分析

4.1経済効果

このプロジェクトの技術成果の市場評価は6000万元である。

4.2社会効果

このプロジェクトの技術成果の産業化後、胃がんの臨床診断における感度と特異性を向上させることができ、外来診断、身体検査者スクリーニング、遠隔山岳地帯、医療支援に広く使用され、胃がんの早期診断の発見率の向上、胃がん患者の生存率と回復率の改善に寄与し、「健康中国戦略」の支援にも貢献している。

5.連絡先

連絡係：徐婉

連絡電話：13756652164