1.プロジェクト簡単紹介

1.1技術成果の簡単紹介

このプロジェクトでは、単一細胞シーケンシング技術と組み合わせた完全ヒトCAマウスに基づいて、特異的抗BKウイルスモノクローナル抗体の迅速なスクリーニングと調製のための技術方法を開発した。当該技術は、自己組織化BKウイルスキャプシドタンパク質(BK-VLP)のin vitro培養・精製により、ヒトCAマウスを免疫し、マウスを刺激して、分泌特異的抗体B細胞を産生させ、特異的蛍光抗原および抗体のFACSスクリーニングにより多数の標的B細胞を取得してから、GEXシーケンシング+VDJシーケンシングを組み合わせた解析および特定の標準によるハイスループットスクリーニングにより標的抗体配列を得る。次に、in vitro発現および精製により標的抗体を取得し、得られた抗体の特異性および有効性を検証するためにELISAおよび疑似ウイルスチャレンジ保護試験により抗体親和性を検出し、最終的に1種または数種の特異的抗BKウイルスヒトモノクローナル抗体を得る。

1.2技術分析と優位性

現在、一般的に使用されている抗BK感染法は、患者の免疫機能がリバウンドするように免疫抑制を減らすことであるが、この方法は非常に免疫拒絶反応につながりやすく、結果を制御することは困難。抗ウイルス薬は免疫抑制剤の減少に次ぐものであり、これらの薬はin vitro実験でウイルス力価を低下させ、感染プロセスを制御する効果があるが、人体のバイオアベイラビリティは低く、毒性と副作用は重大、最良の治療法ではない。IVIG(免疫グロブリン静脈注射)療法は、強度が穏やかで特異性に優れ、効果が顕著であるという利点があるが、コストが高く、ウイルス量の異常増加などの異常現象がある。養子T細胞療法は、新しいホットな治療法であるが、費用がかかり、患者の体内に届けられると多くの制御不能な結果をもたらす。そのため、国内外でBKウイルス感染症に対する特別な治療法はまだなく、人間の健康を深刻に脅かしている。

このプロジェクトは、「結合抗原を認識する抗体を用いたラマン均質な非診断的検出方法」の発明特許を1件有している。当該技術は、工業化転換のための強固な予備実験基盤、実験室条件、および関連する実験施設を備える。競合他社とは異なり、この技術は、ハイスループットで迅速なスクリーニング機能に加えて、完全ヒトCAマウスから特異的抗体を分泌できる多数の標的B細胞を得ることができ、さらに1つ以上の特異的抗BKウイルスIgG1抗体を取得するでき、開発された特異的抗体は高い特異的保護効果を持ち、免疫不全患者がBKウイルス感染に抵抗するために使用できる効率的で穏やかな治療手段の臨床的不足を突破する。

1.3技術成果の主要製品と応用

特異的抗BKウイルス血症モノクローナル抗体は、BKウイルス感染を予防、治療するために特異的抗BKウイルスモノクローナル抗体薬に使用することができる。

（1）腎臓移植レシピエントにおけるBKウイルス関連腎症の予防:腎臓移植レシピエントは通常、移植後最初の3か月で、患者の約30%〜40%および患者の10%〜20%がそれぞれBKウイルス性尿、BKウイルス血症を発症し、移植後1年以内に、腎臓移植レシピエントの約1〜10%がBKウイルス関連腎症を発症し、移植片機能の喪失または移植片の喪失を引き起こす。現在、臨床的に自己回復するため、免疫抑制低減療法を主に使用されているが、免疫拒絶反応を引き起こしやすい。したがって、腎臓移植完了後の免疫抑制治療の過程で、BKモノクローナル抗体を予防的に使用し、免疫拒絶反応を起こさず、BKウイルスの再感染の発生を防ぐことができる；

（2）骨髄移植患者における出血性膀胱炎の予防:移植レシピエントの約10%〜12%が移植後6か月以内に出血性膀胱炎を発症しやすく、重症度はさまざまで、BKウイルス性尿および痛みを伴う血尿として現れることがよくある。 重症の場合、輸血や血栓除去療法が必要、場合によっては死に至ることもあるため、骨髄移植後にBKモノクローナル抗体薬剤を予防的に使用し、体内の潜在的なBKウイルスを除去し、出血性膀胱炎の発症を予防する；

（3）HIV患者におけるBKウイルス感染の治療:HIV患者は免疫システム能力が低く、体質が弱く、BKウイルス感染にかかりやすい。研究によると、HIV感染者の約74%が複数の組織にBKウイルス感染を有し、唾液腺関連の合併症や髄膜炎や髄膜脳炎などの神経疾患を誘発することが多いため、BKウイルスモノクローナル抗体は、BKウイルス感染後のHIV患者におけるBKウイルス感染の治療に使用できる。従来の化学薬(シドフォビル、レフルノミド、キノロンなど)は、治療効果が不安定で副作用が大きく、HIV患者に「二次被害」を引き起こしやすいのに対し、モノクローナル抗体薬剤は標的が強い、優れた有効性を備えるだけでなく、患者への毒性と副作用も非常に低い；

（4）BKウイルス誘発性腫瘍疾患の予防:BKウイルスは、腫瘍形成の潜在的または補因子であるとも考えられている。BKウイルスはヒトの尿路細胞に休眠し、前立腺がんや膀胱がんなどの泌尿器システム腫瘍の潜在的な原因であると考えられ、さらに、中枢神経システムでのBKウイルス感染の持続は頭頸部腫瘍の発生率を悪化させるため、BKウイルスモノクローナル抗体薬を使用して体内の潜在的なBKウイルスを排除し、関連する癌疾患の発生を予防することができる。

1.4技術成果の産業化段階

このプロジェクトはBK VLPキャプシドタンパク質抗原調製及び抗体タンパク質のスクリーニング、発現、精製の小規模なテストプロセスを完了し、パイロットプロセスの拡大と転化実験探究を行っている。

1.5技術団体

このプロジェクトの技術団体は、近年主に薬品の研究開発に従事している吉林大学薬学部の現代生物学研究チームであり、この団体はラマン分光技術を利用して薬物のスクリーニング分野の応用に一連の仕事を行い、過去5年間に開発された品種の1つは米国FDAで臨床試験に承認され、1つは中国CDEで臨床試験に承認された。

研究チームのリーダーは、分光技術、薬品の研究開発、細胞生物学の学際的応用に焦点を当て、吉林大学化学院の関連教授と研究協力を行って、学際的な研究チームは非常に安定し、10件以上の中国発明特許と1件の実用新案特許を取得し、１つの中国国家自然科学基金プロジェクト、１つの中国国家自然科学基金の青年基金プロジェクト、３つの吉林省科学技術局プロジェクトを主宰し、吉林省科学技術進歩賞の第2位を受賞した。

2.市場将来性分析

ヒトで80 ~ 90%の感染率を示しているBKウイルスは、ヒトの正常な免疫防御机構によって抑制され、BKウイルス感染後、ヒトの尿管などの泌尿器の細胞内で「休眠」状態になり、人体に免疫抑制療法を長期間施すと、体の免疫機能が大幅に低下し、休眠中のBKウイルスが「復活」する。

現在、多くの抗BKウイルスの臨床療法は毒性や副作用が強く、免疫不全患者への臨床使用には適していない。抗体治療は、その特異性が高く、副作用が極めて少ないことから、業界から大きな注目を集め、前例のない市場需要を得ているが、ノバルティス会社とチューリッヒ大学は開発したBKウイルス感染に対して臨床的に使用されることが知られている2つの抗体医薬しかなく、いずれも市販されていないことから、国内外の抗BKウイルス感染抗体の開発が初期段階にあり、大きな研究開発の余地と市場ポテンシャルが秘められていることを示している。統計によると、BKウイルスモノクローナル抗体薬剤の世界市場規模は、2025年(Novatis製品の発売予定時期)、2026年、2027年にそれぞれ70億米ドル、105億米ドル、148億米ドルとなり、市場シェアは年々拡大し、市場見通しはますます広がっている。

現在では、Boehringer Ingelheim、Johnson & Johnson、Pfizer、Merkなどの海外企業が抗体薬剤市場でのチャンスを捉え始め、それぞれのポジションや戦略を策定し、マーケティングや技術開発に多額の投資をしている。現在、世界のウイルス治療用抗体薬剤の開発は初期段階にあり、市場開拓はまだ始まっておらず、治療力がありヒトへの治療が有望な抗体医薬品として、ノバルティスが開発した臨床第III.相試験に入るMAU868抗体タンパク質の1つだけで、その後の市場投資が年々増加することは予測に難しくないため、BKウイルス感染症を治療する抗体市場を先取りすることは、大きな市場収益をもたらすに違いない。

3.融资需求及融资用途

このプロジェクトは、3000万元を融資することを計画し、資金は主に抗体開発の分野で使用され、このpipelineに対して開発を行ってINDを共同申請し、産業園区に入り、科学技術成果の産業化を実行し、成果転換の目標を完成する。

4.技術成果の効果分析

4.1経済効果

今日では、より人気のあるモノクローナル抗体薬は関節リウマチや強直性脊椎炎の治療に使用されるアダリムマブなどである。中国におけるアダリムマブの市場規模は、2021年に前年比45.5%増の約16億元、2022年の中国市場での売上高は41.5億元、2030年には240.1億元に達すると予想され、2021年には世界におけるアダリムマブの市場規模が1524億元を超え、2022年には世界売上高が200億米ドルを超え、2028年には2624億元に達すると予想されている。販売後のBKウイルスモノクローナル抗体の平均市場価格は約2000元/本、各患者の最小予防用量は2本/月、BKウイルス誘発がんの予防治療を含め、体内のBKウイルスの潜伏量や個々の要因に応じて抗体投与量を調整でき、HIV患者のBKウイルス感染治療のための抗体投与量を2倍にする必要があり、それによると、BKウイルスモノクローナル抗体薬剤の年間市場シェアは、販売開始後3年以内に100億元に達し、成長率は年々30%〜40%増加し、市場シェアは徐々に上昇し、5年以内に200億元を超えると推定されている。

4.2社会効果

このプロジェクトの建設は、産業政策に沿ったものであり、健康な中国の建設に役立ち、人民の福祉を増加し、経済成長を推進する働力となる。このプロジェクトが運営されると、地方財政の収入を増やし、地域の経済成長を促進する上で積極的な役割を果たすことができる。

5.連絡方式

連絡係：徐婉

連絡電話：13756652164